パッケージの予算

※2020年11月12日に掲載された記事です。

 

このパッケージの見積書が適正かどうか、わからない。
これが、お客様の本音かもしれません。
私たちも発注する立場でもあるので、よく理解できます。

 


 

予算とゴール

 

モノを購入する際に、必ず予算を確認します。また提示された予算で、つくりたいパッケージができるかどうかも考えます。業者による価格差があって、価格が低い業者に発注しても予算をかけることに変わりません。購入先を決定する際に、適正かどうかを見極めることは容易ではありません。パッケージを発注した経験がある方は頷けると思われます。特にパッケージ印刷という商品は、既製品ではなく、それぞれのお客様がつくる「オーダーメイド」。どんなモノをつくりたいのか、しっかりとゴールを描き切ることが大切です。発注される方にどれほどの経験値があるのか、経験値によって、相手をよく見極める必要があります。

例えば、経験値があまりない方は、気づかないところまで細かくサポートしてくれる経験豊富なディレクターがいいかもしれません。逆に、経験値があって善し悪しを判断できる方は、予算や納期などの融通の利く相手がいいかもしれません。

パッケージをつくるときは、発注される側、受ける側との「共同作業」となります。そのため、発注される会社やサービスの内容はもちろんですが、発注される方がどれほどの経験値があって、どういう相手となら「良いモノづくり」ができるかを考えておく必要があります。

 

話を戻すと予算の話ですが、発注される側と受ける側のやりとりの中に予算も大きく関係しています。時間給とあるように、打ち合わせや準備に時間をかければ予算は上がります。出力するだけで仕上がるような商品は、手間暇がかからないので、予算を抑えることができるでしょう。

 

五感に訴えるパッケージ

 

紙やインキ、加工の仕様を試してみないと明確なゴールが見えない場合はテストを繰り返します。1回で終わることもあれば、2回、3回と繰り返し、ゴールを見つける商品もあります。例えば、道路工事の掘削が1mmずれていても問題ないかもしれません、ただ小さな化粧品のパッケージのニス加工が1mmずれていれば問題です。特に、ブランドロゴの印刷に厚盛りニスを重ね、グロス感の効果を演出するのに「ズレ」は問題です。髪の毛1本の厚みを太くするかしないか、テストを繰り返し検証することもあります。罫1本。肉眼ではなく、ルーぺをつかってディティールを確認します。

 

良いモノづくりとは

 

ゴールを見つけるための予算と時間を準備しておくことで、「良いモノづくり」は実現します。とはいえ、予算は無限にあるものではないので、ゴールターゲットに対してテストをつくる際に工夫していることがあります。「バリエーション」で見せることです。ABテストのように、お客様との打ち合わせで「迷われているターゲット」を感じ取り、絞り込む作業として、濃淡や明暗、彩度などの色を補正したり、フィルムを違うパターンで試したりなど。工数をかけずにゴールを探すために、お客様と一緒にバリエーションをつくっていきます。こうすることで、AとBの間というようなゴールを見つけることが可能になります。バリエーションは、お客様の要望に対して、どこで幅を見るかがわかるディレクションの目利きと感性が必要です。

 

ゴールの見えないテストを繰り返すことは予算はもちろん、貴重な時間と精神的なストレスが伴い、良いモノづくりからかけ離れてしまいます。そういった掛け合いがストレスになる場合もあるので、はじめにゴールをしっかりと描き切ることと、またどんな相手とだったらゴールまでつくっていけるかを決めておくことが大切です。私たちは材料や加工、たくさんの協力会社に支えられてパッケージづくりを長年していますが、ゴールをしっかりと共有しながら、少し背伸びをしたモノづくりを前向きに取り組めるパートナーと仕事をしています。